家と体育館の往復だけとなっています。
しかし、こういう変化の乏しい日常の中にこそ
不思議な出会いは訪れるものなのでしょうか?
アパートの駐車場にそいつは突然現れました。
始めはあまりの出し抜けさに心が和らいだものの、
こいつに近づくにつれてそんな感情は一変、次第に心の中へ不可解の波が押し寄せてきました。
原因となったのは、そのサイズ! 要は、デカ過ぎたのです!!
早朝の駐車場にいきなり“亀”というミスマッチな絵がこいつの存在をより巨大なものに見せたのか?
いや仮にそうだとして盛られた分を差し引いたとしても、
十分ウミガメとしてやっていけるデカさでした。
また、こいつの首が長かった!
いや、むしろ長すぎた!!ただ単に威嚇しているだけなのか、
それとも、自分勝手な人間が縄張りに
住宅地を建設したことに立腹しているのか?
どちらにしても寝起きの僕を困惑させるには十分過ぎる存在でした。
まあ、とは言っても、でかい、長いってのはありえなくもないことです。
環境の変化によって生き物が突然変異する例はよくあるし、確かにこっちの生き物の多くは比較的でかい気がします。
そう、こいつの存在を僕の目に普通じゃない
怪奇なものに映らせた理由は他にあったのです!それは…「お前は車か!!!」
と思わずつっこみたくなるほど、
まるで車のように駐車場の一画の
しかもど真ん中にその身を縦列駐車していたことです(爆)
駐車が決して上手いとは言えない僕にとっては
なんだかちょっと馬鹿にされてるような気が。。。少なからず嫉妬心のようなものも芽生えていました(笑)
あまりの堂々とした佇まいに少々気分も悪くなってきたので、
思わずひっくり返したろうかとも思ってしまいました(笑)
やってませんけどね。
一瞬、これは誰かユニークなアメリカンによる悪ふざけか?
とも考えて辺りに人の気配がないか確認しましたが、今は早朝7時半。しかも、ここはただでさえ1日の時間がゆっくり流れているタンパinフロリダ。
こんな時間に誰が外に出て活動しているでしょう?
朝からそんなテンションになれる奴の気が知れないし、
もちろんそんな奴はいませんでした…。
頭の中が次々と浮かび上がる疑問で交錯していく中、
数分ほどじっと足を止めて亀を観察し続けていましたが、しばらくして、練習へ行かねば!
と思いなんとも腑に落ちない感情を抱いたまま
亀を尻目に体育館へと向かいました。
その後の練習中も結局頭の中を亀一色で染められることになった僕は、
終了と同時に現場まで直行していました!あれから2時間が経過して再び目的の現場に到着となりました。
でも、やっぱりもうそこに亀はいませんでした…。
変わりに立派なオープンタイプの黄色いポルシェが駐車されていました。
もしや、車の下敷きになってないよなとも思い車体の裏も隈なく調べ上げましたが、影も形もありませんでした…。
このときばかりはポルシェの象徴である五角形のマークが
亀の甲羅に見えなくもなくて不思議でした。
「やっぱりな。何を期待しとるんじゃ俺は…。」
甚だ身勝手な期待ではあったものの緑の中で寂しく暮らす孤独な24歳にはショックだったようで、
苦笑いの混じったため息のあと、がっかりしながら家へと戻りました。
この日は午後が休みだったので家でずっとくつろいでいましたが、
さきほどの亀のことは常に頭から離れませんでした。「あいつは一体何がしたかったんや?絶対何か意味があるはず。
いや、そうあってほしい!…。」気がつけば、奴との奇妙な遭遇に僕は意味づけをしようとしているのでした。
自分に何かスピィリチャルな出会いが訪れてるんじゃないか!?と。かめかめかめかめかめかめかめ、カメ、かめ、亀、かめ、kame、カメ、
かめ、かめかめ、カメカメ?カーメロ?!…、亀田3兄弟…。亀仙人?ドラゴンボール??
オラ悟空!…。鶴は千年、亀は……いや、違うな……かめかめかめかめかめ………
しばらくして、あっ!!
テレビで釣り番組を見ていたら、豊浦高2年のときに、校内の薬研堀という堀で亀釣りしていたことを思い出しました!!
この堀は江戸時代の毛利藩邸の絵地図にも記入されている
歴史的な堀らしいんですが、
若かれし日の僕はそこの主を釣っておったのです↓
今想えばなんて罰当たりなことを…。
「ってことは、さっきのは罰か!?報復なのか??」
と、次第にあのときの出会いをネガティブな方向に考え始め、自分を戒めようとしているのでした↓↓
「いや。でも、それやったら時間が経ちすぎてないか?」
しばらくして、そう思った僕は再び振り出しへ…。その後もいろいろ考えましたが結局答えは見つからず。
このままじゃ寝れなくなりそうだと思い、ネットで亀についてちょっと調べてみました。
そこで分かった意外な事実は、
亀には目的があれば前だけを見てただひたすら突き進む習性があるということ。
決して振り返らず生死のことすらも考えない節があるらしいです!
確かに産卵の時期になると山へ向かうためか、
平気で道路を渡ってましたね。僕の田舎でも沢山の亀が道路で引かれているのを見たことがあります。
それを見るたびに僕は、
「亀よ、お前はなぜ学習せん?すでに何匹もの戦友が道で倒れておるのに…。
なぜそれを見ているのに、お前はそれでも道を渡るんじゃ?」と、思っていました。
しかし、今の僕にはその頃とは全く異なる感情が沸き起こっていました…。
この無鉄砲なまでの愚直さに僕は心惹かれ、気がつけば震い立たされていたのです。結局、早朝に会った亀の奇妙な行動の意味については、分からずじまいです…。
でも、あの亀さんは僕に大事なことを気づかせてくれた気がします。だからこそ…
朝の亀さん、僕をこんな気持ちにさせてくれてありがとう。
そして、亀さん、僕はあなたの生き方が大好きです!!