「いってきまーす。」


玄関を開けたときに感じたのは、

もはや秋ではなく厳しい苦寒の季節だった。

ひとつの秋が終わり、そして冬を迎えつつあるようにぼくの身体は理解しはじめている。


黒のニットキャップ、上下黒のスウェット、黒の手袋。

目の下まで覆い半マスクと化した黒のネックウォーマーに深々とフードまで被った全身黒づくめの男。

ITPの方々には申し訳ないけれど、遠目からだと冬眠前にせっせと餌集めに奔走する熊にみえないこともない。

そんな怪しいクロ熊が毎朝チャリンコでお決まりの通勤路を颯爽と駆け抜ける。


「ひとまわりしたってことか…。」

1週目は確かまだギリギリ短パンTシャツでやり過ごせていたことを考えると、

「7週間」はなかなか重い…。


4-10から10-4へ。


最近みかんの皮をゴミ箱へ放り投げながらつぶやいている。

「そろそろシュートも入るぞ。」


1周目は2周目への助走。