USBLのブルックリン・キングスのチームに入れました。

しかし12名のロスターからもれました…。

トライアウトはじめ十数人いたPGたちは、

僕と去年のスタート選手2人を残して全員カットされました。
「生き残った!」
最終日も調子が良かったので、
練習中ずっといけたなと思っていました。

ところが最後の発表の12名の中に名前はありませんでした。

最終日に突然現れたPGの選手の名が呼ばれました。

彼は僕の眼中にはなかった選手でした。

その後、歩み寄ってきて彼は苦笑しながら言いました。

「おつかれ!」

少なくともお前よりはこの1週間苦しんだよと思いました。

こんなことが起きても何の不思議もない。

そんなことを納得させる空気がアメリカでは常に流れています。

何が起きるか分からない。明日は我が身かもしれない。

ここはそんな緊張感の上で常にバランスを取り続けています。

僕を支えているのはこの丸くて不安定なバスケットボール。

こんな事に今更ながら気付かされました。

敵はいつどこから現れるか分からない。
ここは世界中から夢や野望を抱いた奴らが集まる国だから・・・。

いまは、小学生でもできるようなことをやっています。

年を重ねるたびにできなくなってくる当たり前のことを当たり前に。

生活の中でも、早起きして飯を食ったり、寝る前に歯を磨いたり。

そうやってまた原点回帰しています。

そしていつものようにもう1人の自分と対話します。

彼は普段からときどきその影を見え隠れさせるんですが、
ときより勝手にしょうもないことをつぶやきだします。

彼は気弱で言い訳がましい性格で僕は大嫌いですが、

たまにぐちゃぐちゃ言ってきます。

ぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃ・・・。

ぐちゃぐちゃ・・・。

・・・。

アメリカ挑戦はこいつとの戦いであると言っても過言ではないかも。

でも、たった1つのバスケットボールで

これだけ考えることの許された僕は幸福なのかもしれません。

ありがとう。

そう、物事は見方次第でどのようにもなります。

誰だって幸福になる事ができます。

絶対このまま終わらない。

トライアウト中に失った前歯はそんなに安くない。